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2009年5月27日 (水)

『グイン・サーガ』(栗本薫)と私の青春

好きな作家が亡くなる、ということを、本当の意味で体験したのは実は初めてかも知れない。

小説家の栗本薫さんが、昨日、すいぞう癌のために亡くなられた。(産経ニュースの記事
まずは、栗本さんのご冥福をお祈りする。

栗本さんが運営している公式サイト『神楽坂倶楽部』には、ここ数年、闘病の記録がまざまざと綴られており、それを見るだけでも、容態の悪さは理解できた。
それでも、栗本さんの、小説の「あとがき」に書いてあるようなテンションの高い文体は、「いつもの栗本さんダナァ」と安心できるものだった。

栗本さんの執筆されたファンタジー大河小説『グイン・サーガ』は、自分にとって青春を彩る本の1つだ。Photo_3

僕が高校生のとき通っていた塾に、1人、とても堅物な国語の先生がいた。

その人はとても頭の回転が鋭く、さまざまな本を読み、たくさんの知識をもっているのだが
鉄仮面のように表情を崩さないので、怒っているのか喜んでいるのかも読み取れず
なかなか近くに行くことが出来なかった。

そんなある日、友人と自分の読んでいる小説の話で盛り上がっていると、
珍しく、その先生が生徒の方に近寄ってきた。

僕はそのとき、栗本薫さんが執筆していた『グイン・サーガ』を読んでいて、
(当時でも既に多くの巻数が出ていたけれど、僕は1巻から読み始めて、
10巻ほどまで読み終わっていた頃だった)
グインやレムス、リンダたちの一転二転する冒険劇は、
続きが気になって寝る時間をも割きたいと思うほどハマり込んでいた。

僕が友人たちにそのような理由で『グイン・サーガ』について熱弁していたところ、
突然、その先生が、その熱弁にさらに加勢するかの如く、
『グイン・サーガ』の魅力について刻々と語り出したのだ。

そのとき、誰もが「ポカーン」とした。

その熱の入りようは凄まじいもので、登場人物の細かい動きなども把握して
どこどこのこういう部分が背景で…など、独演会状態となった。

とはいえ、同じものが好きなのだから、いつも通り聞いているだけではない。
「あれはこういう解釈では」というツッコミから、議論に発展したりもした。

読み方、ストーリーの解釈の仕方、登場人物、好みは少しずつ違うのだけれど、
同じものが好きという上で、小さな文芸批評の場が出来ていて、
新たな知見を得る。それも、今まで近寄れなかった人と話ができる。
これはなんて素晴らしいことなんだろう、と、心に感じていた。

大学に入ってからはファンタジーを離れたため、
自分の中の『グイン・サーガ』は途中で途切れたままだ。
(たまに買って読むが、そのスピードは極めて遅い)

ただ、まだ続いているということを書店で確認するたびに、「あ、読まないとな」と思っていた。
栗本さんが亡くなり、グインの新刊がもう出ないことはまだ信じられないが、
もうグインの新刊が並ばない書店の文庫本の棚を見ると、きっと実感するのだろうな、と思う。

当初は100巻完結と言っていたのだけれど…。126巻までか。

グインはまだ豹頭王とも呼ばれていなくて、レムスとリンダは性格が正反対な双子で、
イシュトはまだ傭兵で…という初期の頃の躍動感は、スリル満点だった。
思い出をありがとうございます。ちゃんと読み進めます。

そして、繰り返し申し上げますが、1ファンとして、栗本薫さんのご冥福をお祈りします。

MTK

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